リュックや登山靴、レインウェアをはじめとする登山用品には目的に応じて様々なアイテムとモデルがいくつも存在します。自分に必要な登山用品を賢く選んでお金の有効活用と快適な登山を目指しましょう。
「行動サポート」「パッキング」「快適」「食べる・飲む」「安全」「休む・泊まる」のカテゴリに分けて登山用品を紹介します。
三種の神器と呼ばれる登山用品
最初に登山では三種の神器と呼ばれる登山用品の紹介です。登山初心者の人は全ての登山用品をいきなりそろえることは不可能だと思うので、まずはこの3点セットを購入することを考えましょう。
登山リュック
ザックとも呼ばれるのが登山の必須アイテムの登山リュックです。登山では必要最低限の荷物だけをパッキングしてなるべく軽量化することが疲労軽減の鉄則です。
登山リュックを正しく選ぶことで、肩・背中・腰の上半身全体で加重を分散して楽に疲れず行動することができます。一泊以上になると荷物も増えて登山リュックのフィット感はより重要になってきます。
登山靴
最近の登山靴は素材の進化によりどんどん軽量で頑丈、防水性などの機能性も高まっているため、普段履いているスニーカーと比べると山歩きは段違いに楽に感じます。適切な登山靴の選択は疲労軽減や怪我の防止につながるので、目的に合った登山靴を正しく選びましょう。
レインウェア
常に使うわけではないですが非常に重要な登山用品がレインウェアです。雨に濡れると皮膚の表面から水分に体温を奪われて体力を消耗し、疲労や消耗が激しいと低体温症になる可能性があります。
いったん低体温症になると、とにかく温めることが重要ですが山の中では思った通りに事が運ぶとは限りません。つまり、事前の予防が非常に重要です。
日本の山は天気が変わりやすいので、2,3時間のハイキングであればリスクも少ないですが、終日行動するような登山計画の場合は必ずレインウェアを持っていきましょう。
行動をサポートするための登山用品
登山では歩行が基本動作になるため下半身への負担が非常に大きくなります。足にかかる負担を減らすためにトレッキングポールを使ったり、下半身全体のサポートとして機能性タイツを使ったり、特に下りで負担が大きい膝には膝サポーターを使うことで疲労の軽減や怪我を防止することができます。また、冬は雪山で行動するためにピッケルを使う場面があります。
ここでは行動の際に体をサポートする登山用品を紹介します。
トレッキングポール
トレッキングポールは素材や機能の進化により様々なタイプが発売されています。ジュラルミンやカーボンを例とする素材の選択、スクリュー式やフォールディング式を例とする伸縮システムの選択、衝撃吸収システムやグリップの形状など様々な選択肢があります。
自分に合ったトレッキングポールを選んで使い方をマスターすると、ぐっと行動が楽になります。三種の神器を揃えたら、次に狙う登山用品にトレッキングポールはいかがでしょう。
パッキングのための登山用品
パッキングは基本的にリュックを使用しますが、リュックのスペースを効率的に使うためのスタッフバッグや、地図や行動食やカメラなどの行動中に取り出す回数が多いものを使いやすくするためにサコッシュやウエストポーチを使う人も多くいます。ここではパッキングに便利な登山用品を紹介します。
スタッフバッグ
登山リュックのパッキングはただ中に収納できればよいわけではなく、疲労を軽減するためにバランスを考えて収納することがポイントです。重いものはザックの中でもなるべく上部かつ体の近くに来るように収納しましょう。
また、様々なものをパッキングするとどこに入れたかすぐに取り出せないことも。これらの課題を解決してザックを使いやすくしてくれるアイテムがスタッフバッグです。雨が降っても中が濡れないドライバッグやかさばるダウンウェアなどをコンパクトに圧縮できるコンプレッションバッグなど目的に応じたバリエーションがいくつかあります。
ウエストポーチ
登山用のウエストポーチはザックと連結して胸のあたりで場所を固定できるタイプもあります。通常の腰の位置で使うと体を曲げて行動する時にお腹につかえることもあるので動いたときに邪魔にならないものを選びましょう。
また、防水性が高いものや、地図や行動食など小物の収納しやすさも選ぶポイントです。
サコッシュ
サコッシュバッグは元々自転車のロードレースで使われているバッグですが、登山や普段使いで使う人が増えている最近人気のコンパクトサイズのバッグです。
サコッシュと呼ばれるものはショルダーバッグのようにたすき掛けにして肩から下げるタイプでバッグのマチ(幅)がほとんどない形が特徴です。元々の自転車用サコッシュは自転車で走りながらバッグの中の補給物資を食べたり飲んだりするため開口部が広くなっています。
快適のための登山用品
登山において快適に行動するために役に立つ登山用品もいくつか存在します。ウェアやザックやトレッキングシューズ等のように高価ではありませんが、地味に役に立つものが多く、早めに揃えていくと便利です。
アンダーウェア
アンダーウェア(インナー)は登山ウェアの中では地味ながら最も重要です。アウターやミドルレイヤーはスポーツウェアなど代用品を使うとしても、肌に触れるベースレイヤーはまず最初に登山用を揃えるようにするとかなり快適になります。
タオル
もちろん普段使いの綿素材のタオルでも十分ですが、登山やスポーツ用に吸水性や速乾性が高く、防臭抗菌素材の速乾タオルを一枚持っていると重宝します。
ゲイター(スパッツ)
雨が降った時にトレッキングパンツや登山靴を水や泥汚れからカバーしてくれたり、富士山登山の下山ルートなど砂利が多い場所で非常に役に立つ登山用品がゲイター(スパッツ)です。
一度走り出すと簡単には止まれないトレイルランニングにもよく使われています。足元の不快感をなくして快適に行動しましょう。
バラクラバ
雪山登山で心強い登山用品がバラクラバです。首の下は保温性の高いウェアで全身カバーしていても、頭部は意外と保温しずらいもの。頭の上はニット帽やヘルメットでカバーできますが、顔面はゴーグルをつけても十分に保温できず、強風で凍傷になる可能性もあります。
傘
登山用の傘を一つ持っていると、日帰り登山などでは意外と便利です。モンベルが作っている傘などは非常に軽量でパッキングしてもさほど邪魔には感じず、小雨程度であればレインウェアをわざわざ着なくても傘で十分な場合もよくあります。
登山用の傘のいいところは、普段使いや旅行にも使いまわしがきくところです。サイズは小さいですが、通常の折り畳み傘よりも軽量で持ち運びの負担がかなり少なくなります。
食べる・飲むための登山用品
登山の楽しみの一つが食事です。すぐに食べれるおにぎりやパンを持って行くと手間はかかりませんが、山頂でバーナーをつかってお湯を沸かしてつくるご飯やコーヒーは格別です。
ここではコッヘルやシングルバーナー、水筒、ハイドレーションなど食に関する登山用品を紹介します。
コッヘル(クッカー)
調理器具と食器を兼ねる登山用品がコッヘル(クッカー)です。少ない燃料で効率的に熱が伝わるような素材や、リュックにコンパクトに収納できる使い勝手が登山用品ならではのポイントです。
一通り登山用品がそろってきたら、山頂での料理に挑戦しましょう。
シングルバーナー
コッヘルと合わせて購入したい登山用品がシングルバーナーです。ガスとガソリンタイプがありますが、初心者は取り扱いが簡単なガスカートリッジタイプがおすすめです。
カートリッジタイプは丸型のコッヘルであればすっぽり収納できるため、パッキングする時にかさばりません。サイズを合わせて購入しましょう。
アルコールストーブ
シングルバーナーと同様に調理の火を起こす登山用品がアルコールストーブです。シングルバーナーよりも昔から使用されていた登山道具で、構造もシンプルで壊れにくいことが利点です。
シングルバーナーのほうが火の取り扱いは楽ですが、音がでないアルコールストーブは自然の音を楽しむことができるメリットがあります。
水筒
ステンレスやアルミのハードボトル、軽量のプラスチックボトル、丸めてコンパクトにできるソフトボトル等、好みに応じて様々な種類やデザインを選ぶことができるのが水筒です。
機能や使い勝手の違いは多少ありますが、基本的には気分が上がる好みの見た目をした水筒を選ぶと登山も楽しくなります。値段も安いものが多いのでコレクションしても楽しい登山用品です。
ハイドレーション
水分補給がとにかく楽な機能を高めた登山用品がハイドレーションです。行動しながら水を飲めるので休憩が面倒な人やトレイルランニング、自転車に向いています。
ハイドレーションを使い場合はハイドレーション対応のザックが使いやすくおすすめなので、使う予定の人は対応しているかチェックしてから購入しましょう。
スキットル
ウイスキーなどを楽しむ人におすすめアイテムがスキットルです。移し替える時にこぼれやすかったり洗浄しずらかったりしますが雰囲気は抜群に出ます。
携帯浄水器
長期の縦走などで役に立つ登山用品が携帯浄水器です。見た目はきれいでも雑菌がいるかどうかの判断は、現場では難しいです。
飲めますと看板に書いてあっても携帯浄水器を持参しておくと安心感があります。災害時にも使えるのでその意味で持っていてもよいアイテムです。
コーヒーグッズ
食事の後や休憩時に楽しみたいのがコーヒーです。山でコーヒーを楽しむための便利なアウトドア用コーヒーグッズがいろいろあるので、余裕が出てきたら購入しておいしいコーヒーを飲みましょう。
テーブル
食事や休憩でコーヒーを飲むときに便利な登山用品がコンパクトな登山用テーブルです。場所によっては平な場所がないことが多いのでコンパクトでもフラットな場所を作れるテーブルは重宝します。雪山など直接雪の上に食器を置くと冷めてしまうような場合にも活躍します。
安全ための登山用品
登山では転倒や滑落、落下物など様々な怪我のリスクや、遭難するリスク等大小様々な危険があります。リスクを下げるための登山道具や、怪我や遭難をしてしまった万が一の状況で役に立つ登山用品を紹介します。
アウトドアウォッチ
最近のアウトドアウォッチは時間やストップウォッチ機能だけでなく、高度計、気圧計、温度計、GPS、コンパス、マップ等登山やトレッキングに便利な機能が搭載されたハイスペックウォッチが主流になりつつあります。
ただし、ハイスペックモデルは使いこなすことが簡単ではないので買ってすぐに一週間の縦走で地図として使いますということは避けましょう。使いながら機能を把握する必要がありますが、使いこなすと心強い危険回避アイテムになります。
スマホ
登山においても連絡手段やGPS、地図として使えるスマホは非常に役に立つアイテムです。ただし、電波がないとかなり制限されてしまうので行く予定の山で電波があるか事前にネット等で調査しておく必要があります。
スマホを持っていない人でも最近は格安SIM(格安スマホ)が月1,000円程度で使えるので値段のハードルは確実に下がっています。使い方に不安がある人はドコモ、auがおすすめです。ソフトバンクは電波が悪いので登山向きではありません。
帽子
快適のための登山道具でもありますが、帽子は登山の必需品です。ハット、キャップ、ビーニーそれぞれにメリットデメリットがあるので選び方や特徴を理解して購入しましょう。
ヘルメット
帽子と同じくヘルメットも頭部を守るための登山用品ですが、より保護の意味合いが強くなります。垂直に近い斜面がある場合、クライミングでは必ずヘルメットを着用しましょう。頭部は人間の体で大事な部分でありながら皮膚が薄いため、他の部位に比べて手厚い保護が必要です。
グローブ(手袋)
グローブ(手袋)は怪我の防止と防寒対策の二つの目的があります。手を怪我すると細かい作業がやりずらくなって行動に支障がでる場合もあります。できるだけ素肌を露出する場所を減らすと怪我が少なくなります。
サングラス
高山は平地以上に紫外線が強いため目に対するダメージも大きくなります。また、小石や木の枝など飛翔物もあるため、目ほ保護も重要です。素肌を露出している場所はなるべくケアするようにしましょう。
サングラスは色見で景色の雰囲気も変えてくれるので気分転換にも効果があります。
マルチツール
マルチツールはナイフやハサミを中心とする多機能ツールです。日帰り登山では使い場面はあまり想定できませんが、登山道具が壊れた場合の修理や食事の際の調理やカトラリー等使える場面もあります。
より長く山に滞在する場合は活躍する場面が増えてくると思うので、長期縦走を視野に入れている人は購入を検討してみてください。
ツェルト
ツェルトはテントと違って自立せずトレッキングポールや周囲の枝木を利用して居住空間を生み出す簡易的なシェルターです。
登山用テントよりもシンプルなつくりをしていて、軽い反面結露しやすかったり空間が狭かったりとデメリットもあるため通常は緊急用として使われます。できるだけ装備を軽量コンパクトにするウルトラライトハイカーは、テント代わりにツェルトを選択することも多くなっています。
ポイズンリムーバー
低山の登山道で気を付けたいのがブヨや蜂に刺されること。ポイズンリムーバーは普通使うことはないですが、万が一の時に備えて携行しておくと、虫刺されのダメージがかなり違います。
虫が多そうな時期や登山コースを歩く場合は、まず虫に刺されないように虫よけを必ず持参し、万が一に備えてポイズンリムーバーも携行していると安心です。
その他非常時の登山用品
防寒対策やSOSのためのライターや防水マッチ、レスキューシート、ホイッスルなど遭難したときに役に立つ登山用品をまとめました。
休む・泊まるための登山用品
日帰り登山、山小屋宿泊に慣れたら次のステップに進みましょう。ここでは登山用のテントやテント泊で役に立つ登山用品のランタンや椅子、スリーピングマット、テントシューズを紹介します。
テント
登山用テントはキャンプ用と比べて軽量コンパクトで持ち運びに負担が少ないことを念頭に設計されている点が特徴です。
山頂や山腹ではテント設営に十分な場所が確保できない場合があるので、ペグダウンする必要がない自立型で、必要最低限の大きさを選ぶと重くならずに使いやすいでしょう。
ランタン
テント泊で欠かせない登山用品がランタンです。昔はガスランタンやガソリンランタンが使われていましたが、登山では最近は手軽で持ち運びが楽なLEDランタンが主流です。雰囲気はガスやガソリン式に負けますが、テント内でも安全に使えるのでまずはLEDランタンを購入しましょう。
トレッキングチェア
テント泊の食事や休憩でトレッキングチェアがあるとリラックス度が上がります。座るのにちょうどいい平面が確保できない場合や雪や泥で地面にそのまま座れない場合等でとても役に立ちます。
また、地面に直接座ると腰も痛くなるし硬くてお尻も痛くなります。腰とお尻の健康のためにもトレッキングチェアを活用しましょう。
スリーピングマット
寝袋を使う場合にほぼマストアイテムなのがスリーピングマットです。地面の上で直接寝袋を使うと明け方寒い思いをして目が覚めたり、地面が硬さで体が痛くなって目が覚めたり、安眠できない可能性がかなり高くなります。
多少荷物が増えてもテント泊する場合は必ずスリーピングマットを持っていきましょう。
テントシューズ
雪山でテント泊する場合など気温が低い時に心強い防寒具がテントシューズです。寝袋で寝ている時に寒さで目を覚ます可能性があるとすればほぼ間違いなく足元です。
山の中のテントでは寒くて目が覚めた後に暖をとる手段がほとんどないのでちょっと暑いぐらい着こんで寝るようにしましょう。足元の保温が一番難しいのでテントシューズは効果的です。
登山用品のアウトレット・セール情報
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