夏登山の服装について、コンディションの特徴とそれに対応するウェアのレイヤリングの考え方、ウェアそれぞれのおすすめモデルをまとめています。
夏登山の特徴
夏の登山の特徴は、登山初心者も3000m級の高山にチャレンジできる時期であることです。3000mを超える高山は日当たりによっては雪解けが7~8月になる場所もあり、秋の早い段階から雪が降り始めて春までアイゼンやピッケルなどの雪山装備が必要な季節が長く続きます。
つまり、夏の登山は普段なかなかチャンスがない高山に登ることが醍醐味といえますが、「登山が初めて」レベルの初心者がいきなり高山に挑戦するのは無謀です。まずは低山で経験を積みましょう。
3000m級の山は基本的に難易度が高い登山道が多いですが、夏山であれば乗鞍岳のように登山初心者でも登頂可能な山もあります。
夏登山の服装の選び方
夏登山の服装のポイントを紹介します。夏登山は基本的に気温が高いので行動着はベースレイヤー一枚であることが多くなります。低山では気温が下がっても肌寒い程度なのでしっかりした防寒着は不要です。その分荷物を減らせるので他の季節に比べて楽に行動できます。
一方、高山になると寒暖の差がでてきます。標高が100m上がると気温はだいたい0.6~0.7℃ずつ下がり、標高0mで30℃の場合、1000mでは23.5℃2000mでは17.0℃3000mでは10.5℃になります。
気温以外にも、日差しや風が体感温度の影響を与えます。風速が1m強くなると体感温度が1℃下がると言われているので、強風下は寒く感じます。逆に高山は雲がない時の直射日光がかなり強いので日差しがあるとかなり暑く感じます。
これらの影響で、高山は基本的に低山より気温が低く寒暖の差も大きくなるのでしっかりした防寒着が必要になります。
服装 | イメージ | 選び方 |
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帽子 | 夏山は紫外線が最も強い時期なのでUVカット生地の帽子が必須。ツバが広いハットやキャップ等が最適で、首筋の日焼け防止を考えるとハットが最もおすすめ。メッシュ加工など通気性が高いものだと長時間かぶっていてもストレスが少ない。帽子をかぶらないと顔だけでなく頭皮も日焼けするので要注意。 | |
サングラス | 高山は日差しを遮るものがないため、直射日光から目を守るサングラスは必須アイテム。夏山の強い紫外線を長時間目にあびると、慢性的な充血や様々な目の病気にかかるリスクが高まるため、頻繁に登山に行く人ほどサングラスは重要。UVカット率が高いグレー系やブラウン系などを選ぶと効果が高い。 | |
アンダーウェア | 夏は化繊のベースレイヤー一択。基本は半袖のほうが快適だが、女性など腕の日焼けが気になる人はアームカバーの着用がおすすめ。 ベースレイヤーの下にドライナミックメッシュのようなドライレイヤーを着用すると皮膚がドライに保たれるので不快感が軽減される。 |
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ミドルレイヤー | 低山ハイキングの場合: 気温や天気によりますが、上着は必要ない場合もあります。ただし、突然の天気の崩れに備えてレインウェアは必ず持参すること。 2000m級の登山の場合: 稜線に出ると強風で体温が奪われる場合があるため、一枚羽織れるウインドシェルや登山シャツなどのミドルレイヤーが必要。より気温が低くなることが想定される場合はソフトシェルが便利。 3000m級の登山の場合: ミドルレイヤーを着たまま行動することが多くなるので行動着としてバランスが良いソフトシェルがおすすめ。またはシャミースジャケットのような薄手のフリースなど、保温性と通気性・透湿性のバランスがよいウェアが適している。 |
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アウター | 低山でも高山でも、レインウェアは必須。休憩中など寒い場合にアウターとしても使える。ただし、レインウェアは通気性が悪いので着たまま行動するとかなり暑いため、雨が降っている場合以外は行動着として適さない。 | |
トレッキングパンツ | 夏山は動きやすく蒸れにくいショートパンツ+タイツスタイルがおすすめ。タイツは疲労軽減や怪我の防止にも効果があるため一石二鳥。 | |
靴下 | 夏山は靴下が蒸れやすいので速乾性が高い化繊の靴下がおすすめ。登山用の靴下は速乾性だけでなく防臭効果や抗菌効果、長時間の歩行でも靴擦れしにくい高いフィット感、クッション性など通常の靴下と比べて高機能なので必ず登山用の靴下を着用しよう。 |
夏登山の服装のおすすめモデル
帽子
夏登山におすすめの帽子はノースフェイスのハットタイプ「ホライズンハット」です。広めのツバで360°しっかり紫外線をカットしてくれます。また、頭の周囲をぐるっとメッシュになっているため通気性が高く、蒸れにくい夏モデルです。
基礎知識:登山の帽子の選び方
サングラス
夏登山向けのサングラスでおすすめモデルはスワンズのエアレスウェイブです。登山は長時間行動するスポーツなので、ウェア全般において長時間着用していてもストレスが少ないかどうかは重要です。エアレスウェイブはフレームが軽量で柔軟性が高いので長時間着用可能な快適なかけ心地です。
レンズカラーは裸眼で見たときとあまり変化がないグレー系を選ぶと目のストレスも少なくなります。
基礎知識:登山用サングラスの選び方
アンダーウェア
半袖、長袖いずれもモンベルのジオラインL.Wは夏山登山の鉄板アンダーウェア。登山ウェアを着たことがない人は騙されたと思ってジオラインを買ってみてください。ほかのスポーツにも幅広く使えるので損はありません。夏のワイシャツのインナーなどにも使えます。
基礎知識:登山のアンダーウェア・インナーの選び方
基礎知識:ベースレイヤーの基礎知識
ドライレイヤー
真夏の登山で汗だくになることが想定される場合はアンダーウェアにドライレイヤーと呼ばれるウェアを着こむと肌に触れる水分量がかなり減るので汗冷えを防いでくれます。ミレーのドライナミックメッシュは奇抜な見た目をしていますが、この見た目にこそ肌をサラッとドライに保つ秘訣があります。詳細を知りたい方は関連記事をお読みください。
関連記事:ドライナミックメッシュのレビュー
アームカバー
登山タイツで人気があるCW-Xはアームカバーも人気です。スポーツの時に使うことが想定されているため、吸湿速乾性やストレッチ性、抗菌防臭性能など機能的です。こちらは手の甲までカバーするタイプなので夏山の強い日差しでもしっかり防いでくれます。
基礎知識:登山向けアームカバー
ウインドシェル
夏登山向けのウインドシェルのおすすめはモンベルのウインドブラストパーカです。かなり薄手でペラペラですが、風をしっかり防いでくれます。薄いので夏でも使いやすいですが逆に防寒性はほぼないのであくまでも防風目的の使用になります。
防水ではありませんが軽い雨なら撥水するのでレインウェア代わりになります。
基礎知識:登山向けウインドブレーカー
登山シャツ
登山のコーデを楽しみたい人、山ガールにおすすめのミドルウェアが登山シャツになります。家から登山道までの道中で着ていても違和感が少ないので移動着としても使いやすいです。
他のミドルウェアと比べると防寒性は劣りますが夏山であれば問題ないでしょう。パタゴニアなどの登山シャツが人気です。
基礎知識:登山シャツの使いどころ
ソフトシェル
夏向けのソフトシェルはモンベルのソフトシェルの中でも薄手のライトシェルパーカです。裏地は吸汗加工された起毛のメッシュ素材で、高い透湿性と適度な保温性があります。
かなり軽量で付属のスタッフバッグに入れるとザックの中でも場所をとらずコンパクトに持ち運べます。
基礎知識:ソフトシェルの選び方
フリース
夏登山におすすめのフリースはモンベルフリースの中でも最も薄手のシャミースジャケットです。
かなり薄手なので行動着にしても蒸れにくくパッキングもコンパクトになります。ただし、コンパクトさを追求する場合は上で紹介したライトシェルパーカのほうに分があります。
保温性があまり必要ではない夏用として最適なフリースだと思います。モンベルのフリースの比較はモンベルフリースのおすすめモデル一覧【比較表】にまとめています。
基礎知識:登山フリースの選び方
レインウェア
レインウェアは普通透湿性が低く、夏は蒸れて暑いことが常識でした。トレントフライヤーはレインウェアの中でも薄手でかなり透湿性が高いことが特徴のウェアです。
薄手なのでかなり軽量(215g)でコンパクトに収納できます。安いレインウェアは他にもいろいろありますが、予算が許す人はトレントフライヤーがおすすめです。
基礎知識:登山用レインウェアの選び方
トレッキングパンツ
夏山に相性が良いトレッキングパンツは蒸れないショート丈です。中でも人気があるのは様々なアウトドアシーンで使いやすいパタゴニアのバギースショーツ。ナイロン100%なのでコットンのショートパンツと比べて防水性が高いので川遊びやキャンプでも使えます。
基礎知識:トレッキングパンツの選び方
登山スカート
山ガールの夏山登山におすすめのコーデがスカート+タイツスタイルです。モンベルのストレッチO.D.ラップショーツはスカートの内側がズボンになっているので視線を気にせずスカートスタイルが楽しめます。
基礎知識:登山スカートのおすすめモデル
タイツ
夏山登山でショートパンツと合わせるタイツは、人気と実績があるCW-Xのジェネレーターがおすすめです。サポートタイツ系では最高のサポート機能で疲労軽減効果、怪我の防止効果に加えて日焼け防止に役立ちます。
基礎知識:登山用タイツのおすすめモデル
靴下
モンベルのWICウォーキングソックスは、速乾性が非常に高いウイックロンという素材の靴下で、甲部分がメッシュ素材で蒸れにくく、足裏は高いクッション性で歩行が楽になる夏山にうってつけの登山ソックスです。
基礎知識:登山用靴下の選び方