登山靴の選び方について、サイズの選び方、メーカーの選び方、その他選ぶポイントについてまとめています。
登山靴の選び方①:サイズ
まずは登山靴の選び方の基本となるサイズ選びの解説です。ちょっと下手ですが以下に登山靴を履いた足の断面図を描いてみました。登山靴のジャストフィットは、かかとをつけて足首をしっかり縛って固定したときにつま先に1cm程度のすき間ができるサイズです。
サイズ選びの注意点①:すき間は1cm前後。大きすぎても小さすぎてもNG
靴下をはいた足と登山靴のつま先の内側の空間は1cm前後より大きすぎても小さすぎてもNGです。なぜ1cm前後の空間が必要か?それは下りでつま先を痛めないためです。
上りでは重心が後ろにあるため、登山靴と足は常にかかと部分が触れることになります。逆に下りでは重心が前なので常につま先が靴に当たることになります。登山はちょっと特殊で、この上りだけと下りだけが長時間連続する運動になるため普段以上の負荷が足にかかります。
特につま先は面積が狭く一点に集中して負荷がかかるので痛みが出やすい箇所になります。そのため、登山靴を選ぶ時はある程度すき間を開けて下りでつま先を痛めないようにするわけです。
すき間が小さすぎる場合はつま先を痛めやすくなるためNGですが、すき間が大きすぎる場合も逆に靴の中で足がずれやすくなるため、無意識でバランスを保つために疲労が溜まりやすく、靴擦れやマメの原因にもなるためNGです。すき間1cm前後のジャストフィットを選びましょう。
サイズ選びの注意点②:必ず登山用靴下をはく
登山靴のサイズ選びの注意点は、必ず厚手の登山用の靴下を着用して試し履きすることです。登山用の靴下は疲労軽減は保温性のために通常の靴下よりもかなり厚手にできています。そのため、普通の靴下と登山用靴下でそれぞれジャストフィットのサイズが少し異なります。
なお、登山用品ショップでは登山靴の試着の際に登山用靴下を貸してくれるので持参する必要はありません。ただし、実際登山に行くときに登山用靴下でない場合、かなりの不快感と怪我や痛みのリスクがあるので必ず登山用靴下を購入しておきましょう。
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サイズ選びの注意点③:試着は夕方がベストではない
試し履きはなるべく実際の登山で登山靴を利用する時間に合わせるようにしましょう。「靴の試着は夕方」という通説がありますが厳密には間違いです。
確かに起床直後が足のサイズは最も小さく、午後から夕方にかけてどんどん足がむくんで大きくなってきます。むくんだ大きさに合わせて購入すると大は小を兼ねる状態になるため一見正しそうですが、登山靴の場合はサイズが大きすぎると足が靴の中で動きやすくなるので完全にむくんだ状態で試着すると午前中はガバガバになってしまいます。
最適な時間帯は難しいところですが、ちょうど中間のお昼ごろを狙って試着すると大きすぎず小さすぎないサイズで選ぶことができるでしょう。
登山靴の選び方②:メーカー
メーカーの選び方はずばり「幅広な日本人の足の形にフィットするアジアンフィット・ジャパンフィットモデルがあるかどうか」がポイントです。登山靴はキーンやサロモン、メレルなど欧米のメーカーと、キャラバンやゴロー、モンベルなど日本メーカーのモデルが存在ます。
上の図のように、日本人の足は欧米人の足と比べて足の指の付け根の部分が幅広で、横から見ると足の甲の部分が高くなっていることがわかると思います。欧米のメーカーは欧米人の足をベースに登山靴を作り、日本のメーカーは日本人の足をベースに登山靴を作っています。
よって、日本のメーカーは必ず日本人にフィットする形で販売されていますが、欧米系のメーカーの登山靴を選ぶ場合は日本人やアジア人にフィットする幅広タイプがあるかどうかを確かめてから購入するようにしましょう。
ただし、人によっては欧米人の足の形に近い人もいるので、まずは試着が一番です。登山靴を選ぶ場合は、足の長さだけでなく幅を意識して選ぶということを覚えておきましょう。
日本人の足にフィットするおすすめ日本メーカー登山靴①:[キャラバン]C1_02S
登山初心者に最もおすすめしたい登山靴がキャラバンのC1_02Sです。筆者も最初の登山靴はこれでした。(富士山登山もこれで登りました。)
サロモンはノースフェイスを履き比べましたが圧倒的に幅広の自分の足にはフィットしました。はじめて登山靴をはく人は必ず硬さにびっくりすると思いますが、C1_02Sは初心者向け登山靴の中でも比較的柔らかめなので違和感が少ないのも人気のポイントです。
柔らかいので動きやすくて軽量、ゴアテックスが使用されているので防水性も高く、それでいて値段もお手頃なので迷ったらまずこちらがおすすめです。
日本人の足にフィットするおすすめ日本メーカー登山靴②:[モンベル]タイオガブーツ
日本が誇る世界の登山ブランドモンベルも当然ながら日本人の足にフィットする登山靴を開発しています。初心者向けとしてはラップランドブーツ、ティトンブーツ、タイオガブーツあたりが該当しますが、この3つの中でタイオガブーツは最も固いタイプになります。
完全なる登山初心者の方だと少々ブーツが固くて重いので違和感が大きいかもしれませんが、堅牢性が高いブーツなので短時間の日帰り登山から、富士山登山など山小屋一泊登山までこの一足でこなすことができます。
ソールが硬く、アッパーも丈夫なので悪路が続いても柔らかい登山靴よりも疲れにくく、荷物が多くなる長時間の登山でも登山リュックの重みをしっかり受け止めることができます。
また、モンベルが設定している通常の日本人向けの幅と、さらにワイドタイプのタイオガブーツワイドが販売されているので、かなり幅広な足型をしている人でも高いフィット感が得られるでしょう。
登山靴の選び方③:主な着目ポイント
ポイント | 選び方 |
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固さ(動きやすいさ) | 固い登山靴は重くて平地で動きずらいデメリットがある半面、長期縦走で重いザックを背負って歩くときの安定感や高い保温性、雪や氷の足場へのけり込みやすさなど、難易度が高い高山縦走や冬期登山などで活躍する。一方、柔らかい靴は平地で歩きやすく軽量であるため、あまり標高差がない低山ハイキングなどに使いやすくなっている。 |
防水性能 | ゴアテックスやアウトドライなど各社が開発した最先端の防水素材が使われた登山靴は非常に防水性能が高い。一方、あえて防水素材を使わず、軽量化や通気性を重視したモデルも存在する。これらは主に雨が少ない欧米のメーカーで採用されることが多く、雨が降りやすい日本の山で使用することが想定された日本メーカーの登山靴はゴアテックス製が主流。 |
足首の保護 | 足首の高さが低い順番にローカット、ミドルカット、ハイカットと3種類に分類される。ローカットは動きやすくアップダウンが少ない登山道向き、ハイカットはホールド感が高いので不安定な足場でも安定しやすく無駄な疲労が減る。ミドルカットはその中間でバランスが良く、登山初心者向け。 |
つま先の形状 | 平地やアップダウンが少ない地形ではつま先が幅広になっているほうが歩きやすいが、足場が狭くなる高山や固い雪面ではつま先が狭くなっているほうが狭い場所で足場を確保しやすい。 |
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