登山リュックブランドについて、それぞれのブランドの特徴や歴史をまとめています。機能面だけでなく、背景を理解して登山リュックを選ぶと、より愛着も湧きます。
初心者向けの容量が小さいハイキング用リュックから雪山や長期縦走向けの大容量リュックまで、ブランドによって得意な分野があります。なお登山リュックの選び方については「登山リュックの選び方とおすすめ」にまとめています。
あ行の登山リュックブランド
オスプレー(OSPREY)
オスプレーは1974年にアメリカで創業した登山リュックブランドです。設立者のマイク・プフォテンハウアーは当初のアメリカの工場で製造していたころから、ベトナムに工場を移した現在まで一貫して製造に関わっているため、アジアで生産されていながらも高品質のリュックを世界に出荷し続けています。
オスプレーのリュックの特徴はとにかく軽量であること。同じ容量や機能を持つリュックでも他ブランドと比べて全体的に軽い傾向があります。
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か行の登山リュックブランド
カリマー(karrimor)
カリマーはイギリス国旗が象徴的な、1946年創業の歴史あるリュックメーカーです。創業当時は自転車の販売をやっていましたが、自転車用のサイクルバッグの製造に転換し、1950年代に入ってからは登山リュックの製造を開始しました。
カリマーの登山リュックは、当時としては他ブランドと比べて細身のシルエットで重心を保ちやすく、狭い場所でも引っかかりが少なく動きやすいことが特徴です。また、当時は登山リュックの色は黄色や赤など鮮やかな色は使われておらず、カリマーが初めて鮮やかな色の登山リュックを製造しています。
現代においてもカリマーの登山リュックはデザインやカラーリングで他ブランドの一歩先を行っている背景が伺えます。
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グラナイトギア(GRANITE GEAR)
グラナイトギアは最近だとサコッシュが人気がありますが、元々は登山リュックやコンプレッションできるスタッフバッグで有名な、1986年にアメリカで創業したブランドです。
1995年に発売された「ニンバスオゾン」は、それまでの金属やプラスチックをフレームとして使う登山リュックとは異なり、一切それらが使用されていない軽量リュックとして人気が出ました。
グレゴリー(GREGORY)
グレゴリーはアメリカでウェイン・グレゴリーによって1977年に設立された登山リュックブランドです。グレゴリーは「登山リュックは背負うのではなく着るものだ」という哲学を持っていて、一人ひとりの体系にフィットするために、フレームやショルダーサイズなど細かく刻んだサイズ展開やヒップベルトやショルダーハーネスの広い調整幅など様々な点で工夫されています。
伝統的に人気があるモデルは「パリセード」、最近の人気作は背面が歩行中も背中に吸い付くようなフィット感と通気性を両立しているズール(ZULU)シリーズです。
クレッタルムーセン(KLATTERMUSEN)
クレッタルムーセンは北欧スウェーデンで1984年に創業した比較的新しい登山リュックブランドです。厳しい寒さの北欧ならではの哲学で、リュックからは寒さで破損する可能性がある樹脂パーツやジッパーなどを可能な限り排除されています。
クレッタルムーセンの登山用品は上の例のように高い機能性を持っていたため、1990年代のヨーロッパのアウトドアブームにも乗って世界展開がはじまり、そのころから環境負荷が低いオーガニックコットンや再生素材を積極的に活用しています。
環境問題への取り組みを積極的に行っているブランドのため、自然に帰ることがないゴアテックスはウェアに使用していないのが特徴です。2009年には世界初の100%リサイクルナイロンでできたバックパックを発表しています。
ケルティ(KELTY)
ケルティは1952年にアメリカではじまった登山リュックのブランドです。ケルティの大きなイノベーションは、アルミを使ったアウターフレーム式のリュックを開発した点です。これが一大ブームとなり、ブランドが定着していきました。
1971年頃には1日分の荷物がちょうど入るサイズという意味のデイバックを完成させ、現代でも70年代風の伝統的なデザインのデイバックが人気です。
た行の登山リュックブランド
タトンカ(TATONKA)
バイソンの意味を持つ名前のタトンカは1994年ドイツで創業した新しい登山ブランドです。ドイツブランドならではの完璧さ、つまり品質の高さを追求したブランドで、全ての製品がしっかりと使用テストされたものばかりです。ドイツ軍でも使用されているモデルもあることから、その性能は折り紙付きです。
ドイター(deuter)
ドイターは1898年にハンズ・ドイターによってドイツで設立されたブランドです。最初は郵便の郵便袋を製造していましたが、第一次世界大戦に軍用バッグを製造するようになって規模が拡大していきます。ドイターの登山リュックの背面は独自の「エアコンフォートシステム」によって通気性が高められていますが、このシステムの大本となった機構を持つ登山リュック「タウエルン」が1934年に発売されています。
フューチュラ32はエアコンフォートシステムが搭載されたドイターの代表的な登山リュックです。32Lで日帰り登山から富士山登山などの山小屋一泊までこなすサイズで活躍する場面が多いです。
ま行の登山リュックブランド
マウンテンダックス(mountain dax)
マウンテンダックスは日本のブランドで、1977年に創業しました。当時の登山リュックは欧米ブランドのものがほとんどで、登山靴同様日本人の体型に合わせずらいものが多かったことが難点でした。
そこで日本人の体系にフィットする登山リュックを作ろうということで立ち上がったブランドがマウンテンダックスです。日本ブランドならではの妥協しない作りの細かさが特徴で、縫製の正確さや使用頻度を重ねたときの耐久性が違ってきます。
マックパック(macpac)
マックパックはニュージーランドで1973年に創業しました。世界的な登山リュックブランドになったきっかけは、耐久性が高く防水性能が非常に高い素材「アズテック」を使ったリュックの開発で、日本同様雨が多いニュージーランドで人気に火が付きました。その後、ヨーロッパやアメリカにも輸出が進み、今では世界的な登山リュックブランドとして認知されています。
ミレー(MILLET)
ミレーは1921年にフランスでマーク・ミレーが創業したブランドです。1950年にヒマラヤ山脈のアンナプルナを初登頂したグループが使用していた登山リュックがミレーでした。そこから登山ブランドとしての知名度を上げていき、今ではリュック以外にもウェアやブーツなどを扱う総合ブランドとして人気があります。
モンベル(mont-bell)
日本が誇る登山用品総合ブランドのモンベルはもはや紹介するまでもないかもしれません。登山リュックに限らず登山に関する全てのアイテムが揃っています。リュックに関して言及すると、モンベルは5Lから120Lまでありとあらゆる大きさのリュックが取り揃えられていて、ジャンルも日帰りハイキングから厳冬期雪山まで、トレイルランニングやマウンテンバイク、サイクリング、バックカントリー、ベビーキャリア、林業用など様々な種類のリュックがラインナップされています。
ら行の登山リュックブランド
ロウアルパイン(Lowe alpine)
ロウアルパインはグレッグ・ロウをはじめとするロウ3兄弟によって1967年にアメリカで創業した登山リュックブランドです。その当時にはなかった背面調の調節機能やサイドコンプレッション機能などをいち早くリュックに搭載するなど、常に新しい機能開発をしているブランドです。
最近のロウアルパインのリュックには、ヒップベルト部分に空気を入れてフィット感を高める機能が搭載されています。