登山の必須用品とも言えるのが水筒です。登山やトレッキングで脱水症状になると非常に危険なため、適度な水分摂取は欠かせません。喉が渇いたときに飲む最低限の量よりも十分な水分を持って歩くのが鉄則です。今回は登山やトレッキングの必須アイテムの水筒について、種類と人気のおすすめモデルについてまとめました。
登山の水筒の歴史
1900年頃の登山用の水筒は軽量で加工しやすいアルミが主流でした。スイスの「シグ」やスペインの「ラーケン」などが代表的な水筒ブランドです。登山用水筒はカラビナに通してザックにぶら下げやすい0型のキャップが特徴で人気がありましたが、次第にナルゲンボトルなど、より軽量で落としても破れず液漏れもしないプラスチック製が主流になって今日に至ります。
登山ではプラボトルの水筒が人気になったとはいえ、0型キャップのシルエットのアルミやステンレス製ハードボトルは近年のエコブームで「マイボトル」として人気を取り戻してます。また、ハードボトルの水筒は保温性の進化も目覚ましく、例えば山専ボトルは熱湯を入れると6時間後でも77℃をキープする高い保温性能を持ち、冬山で大いに役に立ちます。
また、行動しながら水分補給ができるようにと1988年に開発されたのがハイドレーションです。フィルム状のパックは軽量化にもつながり、ウルトラライト登山や休む暇がないトレイルランニングに非常に適した水筒といえます。
ハイドレーションの詳細はこちらの記事を参考にしてください。
登山用の水筒の種類
登山用の水筒には様々な素材や形状、デザインの水筒が存在します。それぞれ特徴が異なるので、季節や天候に合わせていくつかの種類の水筒を持っているとどんな場面にも対応できます。容量は500mlペットボトルの中身が余裕で入る0.6L〜1L程度の大きさだとコンビニでスポーツドリンクを購入して水筒に移し替えて使えるので利便性が高いです。歩く時間や距離にもよりますが、夏場は2L以上水分を持っていると安心です。
ハードボトル(ステンレス・アルミ)
ステンレスやアルミ製の水筒です。メリットは、頑丈な水筒であるため、落とした衝撃等で穴が空いて水漏れするリスクが低い点と、熱湯を注いでも問題ない点です。保温性はないので熱湯を入れるとすぐに冷めてしまいますが、冬場は湯たんぽ代わりにも使えます。冷蔵庫や冷凍庫にボトルを入れておくとキンキンに冷えます。見た目も登山の雰囲気が出るものが多い点も特徴です。
プラボトル
プラスチックの水筒は、ステンレスやアルミ製の水筒と比べて非常に軽量である点がメリットになります。また、ソフトボトルと比べると強度が高いので、破けることはなく、落としても簡単にへこんだり破損しない水筒です。ハードボトルとソフトボトルの中間の性能のイメージです。耐熱性は、登山用は通常の水筒よりも高く設定されており、100℃まで沸騰したお湯でも問題ない水筒も存在します。
ソフトボトル
とにかく軽量なのが、フィルム状のビニールのようなソフトボトルの水筒です。水が入っていない時は折りたたんでコンパクトに持ち運びできる点が大きなメリットです。ただし、使用を繰り返すと経年劣化で破けたり、尖ったところにささって破けたりして水漏れするリスクがあるので取り扱いには注意が必要です。折りたたみの際はくるくると丸めるようにしてください。折り目をつけると水漏れの原因となります。大量に水分を持って行く必要がある場合はソフトボトルがおすすめです。
保温・保冷ボトル
保温・保冷ボトルは、2層にして間の空間を真空にすることで熱伝導を抑えたものが主流で、特に冬場に活躍する水筒です。氷点下の中で行動すると、通常の水筒の場合は中身が凍ってしまったりキャップが凍結して開かなくなったりするリスクがあります。また、氷点下に近い水を飲むと体力を消耗します。多少荷物が重くはなりますが、保温ボトルだと中身もキャップも凍ることがなく暖かい水分を摂取できます。冬季の登山では保温ボトルは必須アイテムと言っても過言ではありません。
重量が気にならなければもちろん夏場にキンキンに冷やしたドリンクを入れて保冷ボトルとして使うことができます。普段使いにも使えるので汎用性の高さが保温・保冷ボトルのメリットです。
水筒を選ぶポイント
飲み口の大きさ
広口の水筒は使い勝手重視の人におすすめです。水汲みや洗浄がしやすく、氷を入れることもできます。ただし、熱が逃げやすいため保温性能は低くなります。一方、細口は直飲みしても水をこぼしにくくボトルを倒しても広口と違って盛大に流出するリスクも減ります。また、少量ずつ注ぐ場合に使いやすい形状です。
ストロータイプなど直飲みできるキャップの水筒は行動中に水分補給がしやすいので登山だけでなく自転車やトレイルランニングやジョギングにも使い回しができます。ワンタッチで口がオープンできるタイプを選ぶとより使いやすいでしょう。
容量
日帰り登山では2Lもあれば十分ですが、1つの水筒で2L持ち運ぶと手で持ちにくくザックのサイドポケットにも入らないことが多いので使い勝手が悪いです。500mlや1Lの水筒やペットボトルで水とスポーツドリンクを小分けにして持参すると使いやすいと思います。
カップラーメンやコーヒーなど水を使った料理をする場合や一泊以上する場合で水場が近くにない場合は持って行く水の量も多くなります。また、飲み水としてだけではなく、万が一怪我をした時に患部を洗い流すことにも使うため、多少余分に持って行きたいところ。大容量の水を持ち運ぶ場合は圧倒的に軽量コンパクトのソフトボトルがおすすめです。
ハードボトルタイプのおすすめ登山用水筒
おしゃれな水筒や軽くて人気のモデル、ストローがついていたり直飲みできる便利なモデル、ストラップやホルダーがつけやすくて便利なモデル、洗いやすい水筒や、人気のサーモスなど、おすすめの水筒を紹介します。まずはアルミやステンレスタイプの水筒です。
SIGG(シグ) トラベラー0.6L
まずおすすめしたいハードボトルがスイスの水筒ブランド、シグ(SIGG)のトラベラーです。飽きがこないシンプルな形状でおしゃれなアルミ製の水筒です。105グラムと思ったよりも軽い印象で、ペットボトル1本分の水分を余裕を持って入れる事ができます。6色のカラーから選べて好みの色が見つかると思います。
LAKEN(ラーケン) クラシック
LAKEN(ラーケン) クラシックは飲み口が広いため、水汲み・洗浄しやすいのが特徴です。デザインもブルーカラーがおしゃれで人気が高くおすすめの水筒です。本体はアルミ製です。
Klean Kanteen(クリーンカンティーン) ボトルリフレクト 27oz ミラー
クリーンカンティーンのステンレス製の水筒は259グラムと、上2つの水筒に比べると多少重いですが、スリムなシルエットの抜群のデザイン性で人気が高いです。
プラスチックタイプのおすすめ登山用水筒
nalgene(ナルゲン) 広口 Tritan(トライタン)
プラスチックタイプの水筒で非常に人気が高いのがナルゲンボトルです。容量も1リットルと大きく、軽くて丈夫、冷凍しても100℃の熱湯を入れても問題ない耐久性を持ちます。目盛りがついているのも地味に便利で500mlタイプはプロテインシェーカーとしても使え、広口なので行動食やコーヒー豆の持ち運びにも使えます。プラボトルの定番中の定番です。
1L
0.5L
ナルゲンボトルについて詳細はこちらの記事を参考にしてください。
CAMELBAK(キャメルバック) ポディウム チルボトル
キャメルバックのプラボトルです。直飲みのプラボトルの定番です。ボトル自体が柔らかいので押しても吸っても出す事ができ、逆さまにしても簡単に漏れない点がポイントです。片手しか使えないロードバイクの方などが多く使用している水筒ですが、ハイドレーションのように行動しながら給水できるため、登山やトレイルランニングにも適しています。
LUNATEC(ルナテック) アクアボット
ルナテックのアクアボットはボトル上部のポンプで加圧することで水を押し出すことができます。霧吹き状やシャワー状に噴出させることができるため、暑い日の冷却や傷口の洗浄にも使える水筒です。
Platypus(プラティパス) META BOTTLE MICROFILTER メタボトルマイクロフィルター付
プラティパスのメタボトルに浄水器がついたモデルです。バクテリアを始め、様々な雑菌を99.9%以上除去します。カートリッジは1つで最大1000L浄水可能です。北海道の河川はエキノコックスの危険性があるので水を汲んで飲む場合は必ず浄水器を使用しましょう。
浄水器の詳細はこちらの記事を参考にしてください。
ソフトボトルタイプのおすすめ登山用水筒
nalgene(ナルゲン) フォールディングカンティーン
広口ソフトボトルの大定番がナルゲンのフォールディングカンティーンです。ナルゲンの他のボトルと同じ大きさの規格になっています。ビニールのような薄さで、軽さと収納性を考えるならとにかくおすすめの水筒です。飲み口を小さくできるイージージッパーと合わせて使うと直飲みしやすいです。-20℃から90℃まで幅広く使えます。
1L
1.5L
3L
Platypus(プラティパス)
こちらも定番のプラティパスです。飲み口が市販のペットボトルのキャップと同じ大きさなので、キャップをなくしても代替が簡単です。様々なサイズの商品が販売されているので用途に応じて複数サイズ持っていると便利です。別売りのドリンクチューブを使うとハイドレーションとして利用できます。
500ml
1L
2L
2L(横型)
Platypus(プラティパス) プラティ・プリザーブ
プラティプリザーブは水筒というより、ワインを入れるために利用する事を想定されて設計されています。ワインを入れて空気を完全に追い出してキャップを締めると酸化を抑えられる仕組みです。登山でお酒を楽しみたい方におすすめです。
エバニュー(EVERNEW) ウォーターキャリー900ml
エバニューのソフトボトルはお手軽な値段設定で必要十分な機能を持つ人気の商品です。キャップにストラップがついているので紛失しずらく、ボトルの形状がくびれていて持ちやすい点が地味に便利です。
保温ボトルタイプのおすすめ登山用水筒
THERMOS(サーモス) 山専用ステンレスボトル
山用の保温ボトルといえばサーモスの山専ボトルです。登山に持って行くことを想定しているため、保温性能と軽さを両立させ、対衝撃性やグローブをしたままでもザックから取り出したり、滑らないように握れたりする工夫が施された水筒です。保温、保冷も文句なしです。熱湯を入れて6時間経過後も77℃の熱々のお湯が使えます。
900ml
500ml
THERMOS(サーモス) 真空断熱スポーツボトル
もう一点サーモスの保温・保冷ボトルの紹介です。こちらは直飲みできる飲み口になっていて、ふたを開ければ大きな口が広がっているため氷が入れやすく洗浄もしやすくなっています。ホルダーもついているので携行にも便利です。ちなみに、この商品はアマゾンの水筒・マグボトルカテゴリでベストセラーになった商品です。
SIGG(シグ) 保温ボトル ホット&コールドワン 0.3L
シグのホット&コールドワンは片手で開け閉めできる保温ボトルです。登山用水筒の0型キャップのシルエットを踏襲しつつ、内部は真空二重構造で高い保温・保冷性能を持ちます。ワンタッチでオープンして直飲みできるので、家でドリップしたコーヒーを持参して山で飲むといった使い方によさそうです。0.3Lモデルと0.5Lモデルがあります。
CAMELBAK(キャメルバック) フォージ 0.4L
キャメルパックのフォージも片手で操作できるタイプで直飲みに適しています。キャップの部分が手になじむグリップや取手の役割も果たします。カラビナにぶら下げても、車のドリンクホルダーにおいても使いやすい保温ボトルです。
お気に入りの水筒を探そう
水筒があると、コンビニには売っていないこだわりの一杯を山で楽しむことができます。お気に入りの水筒で飲むというだけで美味しく感じるメリットもあります。また、ハードボトルや保温ボトルは普段使いにも適しているため、登山だけでなく職場やドライブなどでも使えます。是非マイボトルを手に入れてどんどん活用してください。