怪我の防止や日焼け止めから防寒対策など、夏山か厳冬期の冬山まで登山の様々なシーンで活躍するのがグローブ(手袋)です。今回は、登山用のグローブ(手袋)について、目的別の選び方と夏用、冬山用のそれぞれでおすすめの人気グローブを紹介します。
登山でグローブを着用する目的
登山でグローブを着用する主な目的は「怪我の防止」と「防寒対策」の2点です。グローブを着用しない場合にどのようなリスクがあるか説明します。
怪我の防止
登山の行動中に皮膚が薄い頭部を守るために帽子を被るのと同様に、手や手首も人間の体の中が皮膚が薄い部位になります。また、登山の行動中は手をつく場面も多いため手に擦り傷や切り傷を作りやすく、小さい骨と関節が集中しているためとても怪我をしやすく繊細な部位といえます。さらに、手は登山道具を扱う重要な部位であるため、怪我をすることは行動に大きな支障をきたす可能性を意味します。
薄手の生地の手袋や軍手であったとしても素手と比べると安心感がありますので、登山にはからなず何らかのグローブを持っていくことをおすすめします。
防寒対策
体の末端は血流が行き届きにくく冷えやすい箇所となり、冷えは末端から徐々に体の中心に伝わってきます。また、指先がかじかむと登山用品のあらゆる扱いが困難になり、危険な状況に陥る場合もあります。厳冬期の雪山などでは凍傷のリスクもあるため、寒さのレベルに応じて十分な防寒対策が必要です。
場合によってはグローブを外したほうがよいことも
行動中は基本的にグローブの着用をおすすめしますが、例えば岩場や鎖場でロープや鎖、岩を掴んで登攀する場合はグローブを着用すると手の感覚が鈍くなり、滑落の危険度が高まる場合があります。グローブを着用するとリスクが高まる状況もあることを頭に入れておきましょう。
登山のグローブの選び方
登山グローブを選ぶ時は必ずジャストサイズのグローブを選びましょう。グローブをはめたままで登山用品を扱うことは難しいため、できるだけ指先の感覚が損なわれないグローブを選ぶと使い勝手がよいです。
また、山中の気象条件やルートに応じて、目的とする山で必要な怪我の防止と保温性能のレベルを見極めて適切な素材や機能をもつグローブを選択するとストレスなく行動することができます。
グローブの予備に軍手を持って行こう
グローブは何かと汚れや傷がつきやすく、付けたり外したりする際に紛失しやすいアイテムです。ひどい泥汚れや一時的にずぶ濡れになるような状況で予備に持参した軍手を使うと、メインの登山グローブがダメージを受けずにすみます。万が一、登山グローブを紛失してしまった場合も代用がききます。
登山のグローブ機能や種類
登山用のグローブには目的に応じて生地の厚みや素材の種類にバリエーションがあります。ここでは目的別のグローブの機能について説明します。
怪我防止のための保護
手の甲や指の部分にクッション素材が入った手袋や指を曲げ伸ばしする部分が補強された手袋など、部分的に保護力が高められたグローブは怪我のリスクが高い場所での着用におすすめです。また、耐久性が高くなっているので、長く使えるメリットもあります。
グリップ力の向上
行動中に手でストックなど登山用品を扱う機会が多い場合は手のひらに滑り止めが配置されたようなグリップ力が高いグローブがおすすめです。登山用ググローブの予備として軍手を持っていく場合も滑り止め付きの軍手がおすすめです。
スマホ操作が可能なモデル
行動中もスマホアプリで登山ルートをチェックしたりGPSで自分の位置を確認したりする機会が増えていると思いますが、最近の登山用グローブはタッチパネルに対応したモデルが増えてきています。スマホを使う方におすすめです。
防水機能
雨に濡れると体感温度が下がり、指の感覚も失われていきます。天候に不安がある場合はゴアテックス製の防水性能が高いレイングローブの着用をおすすめします。
防寒機能
年間を通して使いやすいのが、ウールや化繊の薄手のグローブです。両者を比較すると、より暖かいのはウールのグローブ、化繊のグローブは速乾性に優れています。フリース製のグローブは厚みの割に軽くて暖かく、手頃な値段で入手することができます。
また、冬山用のグローブは防水性が高いアウターグローブの中に保温性が高いライナー(手袋の内側の生地)の二重構造になっており、1枚のグローブと比べて格段に保温力が高いのが特徴です。その分着膨れして操作性は落ちるので、細かい作業をする場合はアウターグローブを外してライナーだけ着用すればよく、蒸れた手袋内部の空気を逃すこともできます。
防風機能
高地や冬の雪山などの低温だけが手先を冷やす原因ではありません。風が強いと体感温度が下がり体温を奪っていきます。防風を目的としたグローブは防寒用のグローブのように保温性があるわけではなく、ウインドブレーカーのように薄手で風を通さないような素材が使用されています。
防暑機能
夏場でのグローブの着用は、怪我の防止だけでなく、日焼け予防の目的も兼ねています。メッシュ生地になっていたり、速乾性が高い化繊モデルがおすすめです。日焼け防止のためにUVカットになっているグローブを選びましょう。
人気のおすすめグローブ
イスカ(ISUKA) ウェザーテック トレッキンググローブ
春夏秋と幅広く活躍するモデルがイスカのウェザーテックトレッキンググローブです。手のひらには滑り止めがついていてトレッキングポールをしっかりグリップし、トレッキングポールのストラップの負荷を支える親指と人差し指の内側には補強素材が貼られています。また、通気性を高めるため指の間はメッシュ素材が使用されています。さらに、稼働範囲が広い指の付け根にはストレッチ素材が使用されており、フィット感や怪我の防止
、快適性を高いレベルで達成している人気のグローブです。初めて登山用の手袋を購入するという人におすすめです。
プロモンテ(PuroMonte) トレッキンググローブ
値段の安さ、伸縮性があって使いやすく、滑り止め付き、スマホの操作もできるなど登山用のグローブとして十分な機能性があります。
カラーバリエーションが豊富なのでメンズもレディースも使えるところが人気なポイントです。薄手なので冬は使えません。
ノースフェイス シンプルトレッカーズグローブ
こちらも伸縮性が高く、メッシュで涼しい夏モデルです。グリップ力もしっかりあって、ノースフェイスのロゴもおしゃれな一品です。値段はブランド価格ということでプロモンテよりもお高いのですがそこらへんは好みで選べる範囲内ではないでしょうか。
ブラックダイヤモンド クラッググローブ
岩場を上るための登山グローブです。ビレイ、ビアフェラータ専用なので難易度が高いロッククライミングには使用できません。当然ですが岩登り以外の場所でも使えるので、柔軟に登山で使うことができます。
ブラックダイヤモンド グリセード
マイナス17度(摂氏)まで対応する冬用登山グローブです。バックカントリースキーにも使えます。
夏用のグローブは岩登りでない限り正直ノーブランドの手袋や何なら軍手でも大きな問題はない場合が多いですが、冬用は防寒性能がしっかりしていないと致命的なのでブランドものがおすすめです。
機能的には中にインサレーションが入っているものが防寒性が高く、欲を言えばゴアテックス製だと雪山で長時間使っていても水がしみこまないのでおすすめです。その分ゴアテックスのグローブは値段が張るのでよく検討して購入しましょう。
グリセードはゴアテックスではない分1万円を切る値段で購入できて、コスパが良いグローブです。
上記以外にも、登山用の手袋・グローブは好日山荘webショップに豊富にあります。sale価格商品もあるので是非一度チェックしてみてください。
グローブ(手袋)を含む登山の服装の基礎知識についてはこちらの記事にまとめています。合わせてチェックしてみてください。